シンカフェで明日の(シェムリアップ行きの)バスのチケットをゲットしてその周辺で宿を探す計画をたててホテルを出る
3日目にはカンボジアに向かいたかったため、この日にカンボジアビザの取得と、明日のバスチケット取得をする必要がありました。更に宿は1泊目しか取っていなかった(ネットでの事前支払いで1泊3,000円くらいだったと思われる)ため、今夜の宿探しも必須。とりあえずこの3つが本日のToDoです。
ベトナム最初の朝の光景が強烈でした。
今まで見たこと無いくらいの密度のバイク!騒がしい!怖い!なんだここ!?と圧倒されながら歩き始めると
ホテルを出る。10mくらい歩いてバイタクにつかまる。
ベトナム人バイタクドライバー、目ざとすぎて怖い。
断って歩くが、後ろからついてくる。シンカフェ周辺はここと違って危ないと言う。あと、30$で1日案内してあげると、片言の日本語と英語で言う。
やめとけやめとけ、テンプレだぞ。
怪しさ満点だけど(中略)とりあえずシンカフェまで送ってもらう。30,000D。
30,000ドン(≒187円)。微々たるものですが、今Googleマップで確認すると1.5kmほどの移動なので、やっぱりちょっとぼられています。
でも初めてのバイタク(バイク2ケツ)に大興奮。
この人(バイタク)とはシンカフェで別れる。シンカフェで(シェムリアップまでの)バスチケットを買う。280,000D。シンカフェは白人でごった返していた。近くのLELE HOTELに予約する。
チェックインという単語を知らなかった模様。部屋が空いていたようで、まだ朝だったけど部屋に入れたようです。
本日のToDoリストのうち、バスチケットと今夜の宿の確保がすんなり完了してテンション上がり気味。
(部屋に荷物を置いて)外に出るとまた日本語を話すバイタク(ドライバー)につかまる。名前はチェンさん。英語はあんまりわからない。(中略)地図を部屋に忘れてきた事に気付いて、交渉もそこそこに(ガイドを)頼んでしまった。
これが最大のやらかしです…。地図くらい取りに戻ってくれ…!
でもまたバイタクでテンション上がりまくる。
あらゆるものがよほど面白かったと見えて、バイタクから撮った写真が山ほどあります。
まずはやらないといけないこと、カンボジア領事館でカンボジアビザの申請。
おいよくこんな堂々と領事館の写真撮ったな。※ほぼどの国でも領事館などでの敷地内の撮影は厳禁です
知らないとは恐ろしいですね!
ビザ受付のおっさんはとても不愛想だった。他の人にもそんな感じだった。
領事館スタッフの対応の悪さに驚きましたが、不愛想で済んでるだけまだ良心的だな、と今になっては思います。
カンボジアビザは確か午前に申請して、午後に受領したと記憶していますが、日記に書かれていないのでその辺は確証がありません。
で、この時手持ちのベトナムドンが足りなかったので、申請費用をチェンさんに立て替えてもらっています。
ビザ受領までの間、チェンさんにあちこち連れまわされます。戦争博物館、
メコン川、
お寺。
スマホも地図も無いし、どこに行ったかまったくわかっていません。あと日記には「美術館に行った」と書かれていますが、こちらは写真も無いため、どこの何の美術館に行ったのか不明です。
朝飯も昼飯も「自分(ベトナム人)が買うと安いから」と(チェンさんに)買ってもらい、
賢明な読者のみなさまはもう先の展開が読めますよね!
バイクでの移動時間がけっこう長く、その間チェンさんは家族のことなどを話してきます。「君くらいの歳の娘がいてね」とか「来年から大学に通わせてあげたいんだ」とか。後になって思うとこういう話も布石なんですけどね。
土産に大量のコーヒー豆を買わされる。80$。量を確認しないのがまずかった…。
量の問題じゃねぇよ。確かに、オバハンが豆をザックザックすくってバンバン袋に詰めて、止めるのも聞かなかったのはあるけど。
そして夕方、(おそらくカンボジア領事館でビザを受領してホテルの前まで戻り)チェンさんとお金の話になるわけですよ。
(まずあちらの)言い値は260$だったのだが、必死で、そんなに払ったらお金が無くなってしまう、と言ったら、あっちも、170$でこれ以上下げると自分が損してしまう。(と言う)
「娘を大学に行かせてあげられなくなる」とここで言い出すわけです。
(チェンさんは)あなたがそんなに貧乏とは思わなかった。ごめん。と悲しそうに言った。
いい歳したおっさんが半泣きで言ってきます。泣きたいのはこっちだよ。こっちは19歳で、自宅が遥か海の向こうにあるんだぞ。
むしろ脅されたりした方がどれだけ良かったことか。泣き落としでまんまと170$支払ってしまいました。
今でも(日記を書いている時点)騙されたかどうかの判断がつかない。
金額について騙されているのは100%間違い無いんですが、娘さんの大学のくだりは今でも分からないな、と思ってしまいます。本当に娘さんを大学に入れたい一心で、娘と同じ年頃の外国人からお金を騙し取る決意をした健気なお父さんだったのかもしれませんし、それすらも嘘でこの晩は大喜びで仲間内で打ち上げでもしたのかもしれません。
と、自分を騙した相手の事情に思いを馳せている時点で、今でもぼくは甘いのかもしれませんw
残金:173$、11,000D
11,000ドンは当時のレートで0.75USD程度なので、実質残金は174USDを切ったことになります。現地の滞在12日の予定で500USD持ってきて、2日目にして所持金のほぼ2/3を使ってしまいました。未成年でクレジットカードは持っていませんし、そもそも海外旅の知識が皆無なので現金以外ありません。
当時アンコールワットの1日入場料が20USD、シェムリアップからホーチミンの帰りのバス代が18USD。これを除くと残り10日は1日13.4USDで過ごさないといけない計算です。
今だったら、東南アジアで1日13.4USDは「不自由はするが、まぁ無理ではない」と分かりますが、当時のぼくにそんな金銭感覚はありません。そもそもこの日泊っているホテルが1泊17USDです。ドミトリーやバックパッカー宿の存在を知らないため、これでもかなり安いところを見つけたつもりでいました。
手持ちの現金を何度も数えて、何度も電卓を叩きなおして、変わらない計算結果を見て大きな不安に襲われたところで、日本の自宅にいる母親と電話。かかってきたのか、こちらからかけたのは覚えていません。当時、国際電話対応の携帯電話が市場に出始めたばかりの頃で、この旅行のためにぼくと母は揃って携帯電話を新しくしたのです。
電話の音質は笑っちゃうほど悪く、母が何を言っているのか一切聞こえませんでしたが、たぶん様子を聞いてるんだろうなと予想。こちらの声が届いているかも怪しいな、と思いながら「元気だよ。明日はカンボジアに移動する。大丈夫。大丈夫。」というようなことを答えて、1分にも満たない通話を終了した後、17USDの部屋のベッドに横になって、ぼろぼろ泣きました。
不安で不安で仕方ないけど、帰りの航空券(ホーチミン発)はあります。仮にカンボジアもアンコールワットもあきらめてホーチミンに居続ければ、1日17USD使える計算。ホーチミンで15USD以下の宿を見つけて、残り10日間引きこもって1日1食で過ごせば、確実に帰国することはできます。そのことに思い至って、泣きながら悩みました。
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