冬のカミーノ・デ・サンティアゴについて語るぜ!
ブーエン・カミーノ!(“良い巡礼を”と言う意味で、カミーノを歩いていて一番耳にするセリフ)
近年日本人旅行者にも人気の、“カミーノ・デ・サンティアゴ(通称カミーノ)”と言う、スペインの巡礼の道があります。スペイン西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指し、いろんな距離とルートの道が整備されていて、世界遺産にもなっています。
ボクは2017年12月10日から、2018年1月5日までの間で、“フランス人の道”と言う最もメジャーなルートを歩きました。(ボクはフランスからやってませんけど)
正直、冬のカミーノ舐めてました。
ていうか、先に結論を言ってしまうと楽しくカミーノを歩きたいなら冬はやめた方が良い絶対。
もうね、本当に巡礼者になります。ボクは日本で冬の熊野古道歩きや、冬の四国お遍路をやっていたので、冬のカミーノも全然軽く考えていましたが、それと比べてもストイックな旅になります。マジ巡礼者。
それでも冬のカミーノするんじゃ!って猛者向けに、この記事を作りました。主に冬のカミーノに特化した記事です。カミーノの基本的な事、シーズン関係なく必要な知識などは、カミーノ友の会や旅行者のブログ記事がたくさんあるので、そちらを検索して下さい。
目次
- 冬のカミーノ・デ・サンティアゴについて語るぜ!
- 冬のカミーノはここがヒドイ!
- 冬のカミーノのここが良い!
- 冬のカミーノの装備(無いとヤバい)
- 冬のカミーノの装備(あると絶対良い)
- 絶対読んでほしい!冬のカミーノの進み方
- もし冬のカミーノをするならクリスマス到着を狙え!
- それでも冬カミーノに行きますか?
冬のカミーノはここがヒドイ!
アルベルゲの大半が閉まる
もうこれが一番困ります。
アルベルゲと言うのはカミーノ巡礼者向けの宿泊施設で、無料~10ユーロ程度で泊まれる、ドミトリーの宿です。
で、このアルベルゲ、冬以外はどんな小さな町に必ずと言って良いほどあるし、1つの町にいくつもあります。冬以外は。
そう、これらアルベルゲの大半は冬季完全に閉鎖します。
ボクは当初この状況を甘く考えていたため、初日から野宿になりました。最初から野宿有りのつもりで準備していれば良かったんですが、アルベルゲがいくらでもあると思っていたボクはゴール地点のサンティアゴに送った荷物の中にテントを入れてしまっていました。まさか初日からテントを送った事を後悔するとは思ってなかったです。
まぁ、事前にちゃんと調べていけば(後述)、野宿と言う事態は避けられるのですが、最後まで困ったのが「開いてるアルベルゲで一番近いのが30km以上先」とか、「開いてるアルベルゲが20km先と40km先しかない」なんて状況がよくあった事です。
この制約は特に、慣れて来た中盤以降が非常にうっとうしい。例えば「40km先に観光したい町があるから、今日30km、明日は10km+観光にしよう」とか、「今日は体調が悪いから20km以内でやめよう」や、逆に「今日は元気だから30km以上歩きたい」と言った調整ができないのです。
自分のペースではなく、アルベルゲの有無で進むペースが決められてしまう。これは体力的にも精神的にもけっこうストレスが溜まりました。
また、アルベルゲが開いてる町も、大きな町でない限りはせいぜい町に1つだけと言う状況なので、選択肢がありません。Wi-Fiが無かろうが、微妙に汚くてコスパが悪かろうが、立地が悪くて中心部まで遠かろうが、その1軒に泊まらざるを得ないのです。
特に要注意、クリスマスイブとクリスマス
年末年始も大変ですが、年末年始よりもアルベルゲの閉鎖率が高いのがクリスマスイブとクリスマス。通年オープンのアルベルゲも、この時だけは休みという所が多いです。
ボクはクリスマスイブに、レオンと言う大きな都市に到着するように調整して歩きました。ブルゴス以降、ずっと10人くらいの同じ巡礼者と毎日同じペースで進んでいましたが、彼らも全員イブのレオン着を意識していました。
で、結局ボクらの大半はレオンにもう一泊する事にしたのですが、ボクらの翌日(クリスマス)にレオンに到着した組はかなり苦労したようです。いわく、30kmのつもりがアルベルゲが開いてなくて40km以上歩いたとか、どう調べても40km以上先しか開いてなく滞在中のアルベルゲも閉まるから、仕方なく列車を使ったとか。1日違いでえらく苦労したようです。
なお、ガリシア州に入ると「Xunta」と呼ばれる州立のアルベルゲがクリスマスも年末年始も開いていて安心です。
バーやレストランも閉まる
冬は、巡礼者向けのバーやレストランも閉まります。
地元民向けの小さなバーなんかは開いていたりもしますが、クリスマス休暇からそのまま年末年始休暇に入ってしまうお店もありますので、年末になるにつれお店は激減します。
また、地元民向けのお店はたいてい15時~18時の間くらいは休憩に入っています。15時~18時と言うと、ボクはちょうど歩き終わってアルベルゲに入るくらいのタイミングの事が多かったので、微妙に不便でした。と言うか、冬は日の出が遅いので多くの巡礼者が同じような時間の到着になります。巡礼者にとっては利用しづらい営業時間です。
荷物が重い
カミーノに関する日本語サイトを見ているとよく「荷物は体重の1/10」なんて表記を見かけますが、冬のカミーノでその重量の荷物にするのは不可能です。
いや、不可能じゃなくはないですが、とても危険なので絶対やめましょう。後述の「冬のカミーノの装備(無いとヤバい)」を読んでもらえればわかりますが、冬のカミーノは防寒着や食料をちゃんと積まないと身の危険があります。
実際、長期で歩く人の荷物はどれも大きく、重量を訊いてみると9kg~12kg程度の人が多かったです。夏のカミーノは知らないので予想ですが、これは夏の平均の1.5倍~2倍程度の重量ではないでしょうか。
当然、荷物が重いと疲れますし、歩く速度も落ちます。純粋な体力面で言っても、冬のカミーノは夏よりハードになりがちと言う事になります。
気候が不安定
冬でも温暖なスペインの中で、カミーノ沿いの町はなぜか寒くて気候が不安定です。
天気予報見てても、カミーノより北の町は最低気温9℃、カミーノより南のマドリッドとかは最低気温3℃なのに、カミーノ上のブルゴスやレオンは最低気温1℃、なんて状態です。夏は涼しくて良いのかもしれませんが、冬はツラいです。
カミーノ終盤のガリシア州は年間を通して雨が多く、特に10月から2月の冬季は1ヶ月に18日前後は雨と言うデータがあります。
更にカミーノはガリシア州に入ってから標高1,300mを超える峠越え、その後も何回か標高700m~900mまで上がって、雨の比率はもっと高かったように思いました。
毎日雨が降ると、いろいろ困った事が起こります。
- 足が濡れた状態で歩くとマメができやすく&潰れやすくなる
- 立ち止まると寒くてゆっくり休憩できない
- 洗濯物が乾かない
- 到着するとまず荷物や靴、レインウェアを乾燥させる場所探しをしないといけない
- そもそも気が滅入る
カミーノ中の雨は、悪い事ばかりで良い事が1つもありません。でも冬は雨ばっかり降ります。ヒドイです。泣きそうです。
実は一番ツラかった乾燥
カミーノ中盤、ブルゴスからレオンの間は雨が少なく、起伏も少ない代わりに、乾燥した強い北風が1日中吹き付けます。遮る物が何もないのです。
これによって何が起こるかと言うと、巡礼者は西に向かって1日中歩き続けているので、右腿の外側と左腿の内側が乾燥して大変な事になります。
皮膚は乾燥を通り越して、内出血でも起こしてるかのような青黒い色になって、更に歩く事でズボンと擦れて、表面は血が滲みます。結果、幅10cm、縦20cmくらの面積が青と赤のまだら模様になって、かなりグロテスクな見た目になります。もちろん痛いです。歩いてる時もそうですし、シャワー浴びる時は腹に力を入れないといけないくらい痛いです。
日本では乾燥肌に悩まされた記憶がほとんど無いボクでもこうなったので、もともと乾燥しがちな人はもっとヒドくなるかもしれません。
保湿クリームなんかを塗ると多少マシになるかもしれませんが、1日中ズボンで擦れるとクリームの成分が無くなりそうだなとも思うので、どの程度効果があるかはわかりません。
中盤、ボクは足のマメよりも腿の乾燥がツラかったです。
冬のカミーノのここが良い!
アルベルゲ独り占め!?
夏などハイシーズンのカミーノで最もストレスなのは、アルベルゲの狭いドミトリーにぎゅうぎゅうに押し込まれる事だと思います。人に入られたくないパーソナルスペースが平均より広い自覚があるボクとしては、けっこう避けたい事態でもあります。
冬のカミーノならこの点はとにかく楽!
ボクは全部で25泊アルベルゲに泊まりました(+1泊野宿)が、内5泊はドミトリー部屋を独り占めの個室状態でした。他にも、30人寝れる雑魚寝部屋の真ん中に3人だけでぽつんと寝たり、24名分のベッドが並ぶ大部屋で2人だけと言う日もありました。
「今日のアルベルゲは人が多いなぁ」なんて思っても、冷静に数えると最大収容人数の半分を超えません。
最大収容人数の半分を超える宿泊者がいたのは全体の内4泊でした。ブルゴスからレオンの間が、開いてるアルベルゲが多分最も少ないので、この区間は少々混みがちになります。
とにかく人が少ない
道中もとにかく人が少ないです。
寂しいと言えば寂しいですが、ボクは自分の前を人が歩いてるのが好きではなく、後ろにつかれると意識してしまって精神的に疲れ、横に並ばれるとヒートアップするので、前にも後ろにも見渡す限り誰もいない方が気楽で良いのです。
ヘタすると朝アルベルゲを出て、夕方アルベルゲに到着するまで1人も巡礼者に会わない事もあります。のびのびと気楽に歩く事ができました。
巡礼者がみんな仲間みたいになる
ハイシーズンのように、道中ずっと巡礼者に溢れ、アルベルゲについても巡礼者でごった返しているようだと、いちいち1人1人の顔なんて覚えてないかもしれませんが、冬のカミーノだとみんな仲間になります。
人が少なすぎるので、1度同じアルベルゲに泊まったら必ず「お互い顔見知り」になりますし、アルベルゲが少なくてその後も再会する可能性が高いです。たいてい皆、1日中誰とも会わずに歩いているので、自然と話す機会が増えて仲良くなります。
おそらく、この密度の濃さは冬のカミーノでしか味わえないでしょう!
運が良ければ雪景色が美しい
雪が降った後、晴れた時の雪景色は最高です!
ただ、前述の通り晴天率が低いので、運が悪いとただの雪中行軍になって何も良い事ありません。
冬のカミーノの装備(無いとヤバい)
ここからは「冬のカミーノ」に焦点を当てて装備の説明をします。季節にかかわらず必要な物(クレデンシャルとか)は特に触れていません。一般的な装備について知りたい方は他の方のブログとかを見て下さい。
寝袋
冬のカミーノの寝袋はどの程度の厚さが必要?と言う疑問はよく見かけますが、これは個人差があるし、後述のダウンジャケット等の防寒着の有無も関わって来るので、一概には言えません。
やや寒がりで、なおかつ長時間運動した後は体温が上がらなくなる体質のボクですが、ダウンジャケット+寝袋「モンベル ダウンハガー800#2」はちと過剰でした。
ダウンジャケットを別で持っているなら、「モンベル ダウンハガー800#3(コンフォート温度3℃以上)」クラスでOKだと思います。
ダウンジャケット等の厚手の防寒着を持参せず、寝袋だけという人なら、モンベルで言うと「ダウンハガー800#2(コンフォート温度0℃以上)」クラスが良いと思います。
よく通販サイトに書いてある「最低使用温度」はアテにしちゃダメです。寒くて寝られません。メーカーサイトに書いてある「コンフォート温度」を目安にしましょう。
暖房がしっかりしているアルベルゲは良いのですが、部屋が広すぎて暖房があまり意味をなしていなかったり、2,3人しかいない広い部屋に暖房付けるのがもったいないからと1人1つ小さいヒーターを渡されたりと、部屋が寒い事がけっこうありました。夜中に薪ストーブの薪が切れて、納屋を改修したスカスカの寝室が外気同然になった事も。
とは言え、冬のカミーノの各地の最低気温はせいぜい0℃~3℃程度。なので氷点下以下対応の寝袋までは必要ないと思います。
あと、これはイレギュラーな事態だと思いますが、ボクは途中で寝袋にダニかなんかの虫を移されて、数日間ダウンジャケットで寝る羽目になりました。(乾燥機があるアルベルゲで高温モードの45分コースにかけたらなんとか虫は殲滅)
厚手の防寒着を持たずに寝袋1つで行くと、こういうイレギュラーな事態に対応できないので、個人的には厚手の防寒着+薄めの寝袋の2段構えが良いと思います。
レインウェア
前述の通り、冬のカミーノはとにかく雨が降ります。豪雨になる事はあまりないので夏なら濡れてもたいした事ないかもしれませんが、冬は濡れると体温が奪われるので雨具は必須です。
レインウェアはジャケットタイプの上下でも、ポンチョのようなザックごと覆ってしまう物でも構いませんが、必ず傘以外の雨具を用意しましょう。
と言うのも、かなり風が強い地域があるからです。縦走のように山の高い場所を何キロも行く区間もあるので、雨+強風は想定しておかないといけません。そんな場所で傘は論外です。(カミーノ沿いのゴミ箱には壊れた傘がやたら捨ててありましたw)
と言う事で、強風+雨でも大丈夫なレインウェアは必須です。
厚手の靴下
これも必須です。
理由としては防寒対策+マメ対策です。厚手で強い生地、フィットした靴下だと比較的マメができにくくなります。
冬以外だと蒸れて逆にマメができやすくなりますが、冬はそこまで蒸れる心配がありません。安心して厚手の靴下を履きましょう。
なお、新たにカミーノ用の靴を購入する場合は、先に靴下を購入して、その靴下を履いた状態で靴を選ぶようにしましょう。
しっかりした靴(トレイルラン~軽登山靴クラス)
カミーノはガレ場などが少なく、舗装路も多いため、最悪運動靴でもどうにかなりそうですが、それは夏の話。冬にそんなナメた靴で行くのはやめましょう。理由としては3つ。
- 雪中行軍する可能性があるから
- 汚い道を行く可能性があるから
- 荷物が重いから
一番の理由は、雪中行軍する可能性がある事。
↑の写真は、自分の両足を上から撮った写真です。足首まであるはずの靴が全然見えません。
まぁ、このレベルになると軽登山靴だって完全に浸水してしまうのですが、ここまで無いにしても雪道を歩く事は覚悟しないといけません。軽登山靴ならある程度雪から足を守ってくれますし、防寒機能も持っています。
2つ目、カミーノ終盤、ガリシア州に入ると沿道の牧畜業が盛んになり、道に牛や馬の糞がかなり落ちています。
晴れてたらあまり気になりませんが、ガリシア州は特に冬季の雨が多い地域。連日続く雨で泥と糞は見分けがつかないくらいぐっちゃぐちゃにかき混ぜられており、更にそこに水たまりができています。
広い道なら蛇行して進めばいいのですが、幅の狭い道で避けようがない事が多々あります。
そんな時は仕方ないので、牛糞臭い泥と水たまりの中をぐっちゃぐっちゃと進みます。
もし運動靴なら、すぐに染みて靴下や足まで牛糞水に浸かる事でしょう。軽登山靴なら靴の外側が汚れるだけで済みます。
これは、単に気分的な問題だけでなく、衛生面での問題も深刻です。マメがつぶれたり、爪が剥がれたり等の傷ができた足にそんな水が触れたら、細菌が入って膿んだり感染症の危険だってあるわけです。
3つ目、前述の通り「冬のカミーノは荷物が重い」と言うのも軽登山靴を推奨する理由です。
ボクは中山道や熊野古道歩きで、様々な装備(6,7kg~17kg)と靴(運動靴~登山靴)の組合せを試しましたが、「8kg未満の荷物なら靴は何でもいい」「10kg以上の荷物になると、重くなるほど靴による負担軽減の差が大きくなる」と言うのが実感です。
足首から下の、いわゆる「Foot」の部分の筋肉って普段意識する事はありませんが、重い荷物を持って長距離歩くとこの「Foot」の部分にかかる負担が大きくなり、足の甲や側面の筋肉が痛くて歩けないなんて事も発生します。
運動靴って、この「Foot」部分のサポート力ってすごく弱いんですよね。軽登山靴以上が丈夫で重いのは、この「Foot」部分を支えているから。
8kg以下の軽い荷物ならたいした負担になりませんが、前述の通り冬のカミーノの荷物は10kgを超える人が多いですので、やっぱり靴は丈夫な物を推奨します。
と言う事で、冬のカミーノは軽登山靴推奨、最低でもトレイルランシューズ(丈夫目の物)が良いです。
軽登山靴はローカット(足首まで覆われてない物)や、ミッドカット(足首まで覆われている物)の足首まわりの生地が柔らかいタイプが良いでしょう。重量も軽めの物が良いです。ボクの靴はこれでした。
ハイカットや重い靴、ミッドカットでも足首まわりが固い靴は舗装路でうっとうしいと思いますので、そういう固めの靴は避けましょう。
食料
ボクは事前に7月にカミーノをした旅行者から「食料けっこう持っていったけど、全然減らなかった」と聞いていたのですが、冬は食料持たないとダメですマジで。
理由はやっぱり、バーやカフェ、商店が激減するから。食料を手に入れる機会がめっきり減ります。
ある日滞在した町が、商店が一軒もなく、唯一のバーは地元民向けで19時からしか開かないと言う町だったので、15時に空腹MAXで到着したボクは部屋で行き倒れてました。
当然そんな日でも翌日の朝食や補給食まで持ってないといけないわけです。
序盤でそういう事が続いたので、ボクは基本、商店で買い物する時は2日後の補給食まで買うようにしていました。翌日の朝・補給食、翌々日の朝・補給食って感じです。
他の巡礼者も、たいてい食料はしっかり持つ傾向にありました。長いバゲットを丸々1本、ザックの側面に差している巡礼者もいました。
中には食料をあまり持たない巡礼者もいましたが、レリエゴスって町ではめちゃショボい商店しか開いてなく、パンすら手に入らなくて、その人は嘆きながらバナナとオレンジとビスケットだけで夜と朝を乗り切って次の町まで歩いていました。
その他防水用品
とにかく雨が多いので、荷物の防水はしっかりしましょう。ザックカバーはもちろん、寝袋やダウンジャケット、電子機器類は更に防水袋に包むなどして保護しましょう。防寒着は濡れると性能が大幅に落ちます。絶対に濡らしてはダメです。
ボクはほとんどの荷物はモンベルのスタッフバッグ(簡易防水)に入れています。
あと、少し値は張りますが、衣類やパソコンなど、絶対濡らしたくない物は口を折りたたんで閉めるタイプの物がオススメです。
これに入れると、水没でもしない限り濡れる事はありません。
冬のカミーノの装備(あると絶対良い)
ダウンジャケット上下
前述の寝袋の項目でもチラッと触れましたが、寝袋が薄手の人はダウンジャケット持っとかないと寒いと思いますし、寝袋が厚手の人も持っておいた方がベターです。
アルベルゲによっては外気温同然になる所もありましたし、到着してシャワーを浴びた後、買い物や食事で外出する際に冷えてしまうと風邪をひきます。歩き終わった後は1枚多めに羽織りましょう。
折り畳み傘
レインウェアの項で、「傘は意味が無くなる」と書きましたが、傘もあると便利です。
序盤のブルゴスより東は天候が不安定で、30分ごとに晴れたり雨が降ったりする日が多く、そういうにわか雨は傘でしのぐと便利です。
また、歩いている時レインウェアを着ていて、アルベルゲ到着後また外出する時に、濡れたレインウェアをもう一度着ると言うのはあまり良い気分じゃありません。こういう時も傘があると便利です。
ただし前述のように強風で壊れる可能性が高いので、捨てるつもりの要らない傘を持っていくのが良いでしょう。
頭部を覆う帽子や布
カミーノは年間を通して風が強い区間が多いです。特に冬季は冷たい風が吹きつけます。
気温的にはたいして寒くないなと思っていても、実は頭部や首を長時間風にさらしていると大きく体力を奪われます。
ニット帽でもなんでも良いですが、耳まで覆えるものが良いです。ただし気温的にはそう低くないので、厚い物だとうっとうしくなってくると思います。
ボクはBuff(バフ)ってのを2枚使っていました。こんなの。
商品画像じゃいまいちわかりませんが、薄くて伸びが良い素材で出来た、長い筒状の布です。
ボクは1枚のBuffを首に、1枚を頭に巻いていました。薄いので運動していても暑くなり過ぎず、吸水性も速乾性も良いので汗をかいても不快に感じませんし、洗濯してもすぐ乾きます。
ただの布な割に結構なお値段しますが、ちょー優れものです。日常的に運動する人は買っておいて損は無いと思います。
Buffだけじゃ足りないくらいの強風の時は、ジャケットのフードをかぶっていました。フード付きのジャケットが無い人はもう1枚厚手の帽子を用意しておくと良いかもしれません。防水の手袋
防寒用の手袋は必須ですが、何回も言っている通り雨がとにかく降るので、手袋は防水に越したことはありません。濡れるとめちゃ冷たいです。
気温が低くはないので、スキー用みたいなゴツイのはジャマになるかと思います。登山用の軽い防水手袋がオススメです。
ヘッドランプ
これはあったほうが限りなく良いです。
後述しますが、冬のスペインは日が短いです。万が一、予定通り到着せず暗くなってしまった場合や、夕方明るいうちに到着する為に早く出発する場合など、ヘッドランプがあると便利です。と言うか、町を出たらいきなり街灯が無い未舗装路と言う事も多いので、ライトが無いとろくに進めません。
ムリするつもりが無くても、アルベルゲの営業状況によってはムリして歩かざるを得ない区間もあります。非常時の為にヘッドランプは持っておいた方が絶対良いです。
絶対読んでほしい!冬のカミーノの進み方
必ず数日先までアルベルゲを確認する事!
冒頭で述べた通り、アルベルゲはびっくりするくらい開いていません。
アルベルゲが開いているかどうかを確認する方法は2つ。①Webサイトで確認する。②アルベルゲの人に訊く。です。
アルベルゲ営業状況のWebサイトは次の項にURL貼りましたので参考にどうぞ。もしかすると毎年URLが変わる可能性もあるので注意して下さい。
「数日先まで確認せよ」と言うのは、Wi-Fiが無いアルベルゲも多いからです。今日のアルベルゲは確認してたけど、Wi-Fiが無くて明日のアルベルゲが分からない。と言う事にならないよう、3,4日先まで確認しておくと良いです。
アルベルゲの予約は、できる所とできない所があります。公営アルベルゲは基本的にできません。私営アルベルゲなら、前のアルベルゲで予約してくれる場合もあります。滞在しているアルベルゲで訊いてみましょう。
また、餅は餅屋と言うか、Webサイトに載っていない情報もアルベルゲのオーナーは持っています。Webサイトに載っていなくても実は開いているアルベルゲを教えてくれます。どうしても行程的にこの町に泊まりたいけどアルベルゲが分からないと言う時は、訊いてみると良いです。
アルベルゲの営業状況Webサイト
ボクは以下の2つのサイトを見ていました。
[外部リンク①]アルベルゲの営業状況
[外部リンク②]アルベルゲの詳細情報
開いてるかどうかについては、外部リンク①の方を参考にして下さい。
外部リンク②は、各施設の設備などを補助的に見るのに利用していました。こちらにも営業状況が記載されていますが、外部リンク①の方が信憑性が高いです。
外部リンク①の見方は、「町の名前―アルベルゲ名称or市営―電話番号―営業状況」の順番で並んでいます。
営業状況の欄が
- 空白・・・基本営業しているはず
- 「Reserva necesaria」や「Se recomienda reservar」・・・予約があれば営業(予約が入ってない日は閉める事があるらしい)
- 「Cerrado」・・・休業。右横に休業期間。日付は日/月の順なので注意(「Cerrado del 1/2 al 28/2」なら2月1日から2月28日まで休業)
こんな感じです。ただし、ここに載っていないアルベルゲもたくさんあるし、載っていない中にも開いているアルベルゲは稀にあるので、そこだけ念頭に置いて下さい。
ボクはここに載っていないEspinosaのアルベルゲに泊まった事があります。情報源は前の公営アルベルゲ(Granon)のボランティアの人。尋ねると何も見ずに、アルベルゲがある町をスラスラと教えてくれました。横のつながりでもあるのかな・・・。
半信半疑でEspinosaに行くと、ちゃんと開いていました。地元民向けのバーをメインに経営していて、空いてる建物で片手間にアルベルゲをやっているタイプでした。
なので、外部リンク①には載ってないけど、どうしてもこの町に泊まりたい!と言う場合はダメもとでアルベルゲのスタッフに訊いてみると良いかもしれません。
食料は必ず確保すべし
何度も言うように、夏季に比べるとバーやレストラン、商店が激減しています。
ガリシア州(カミーノ終盤)に入ってからはさほど苦労しませんでしたが、レオンより東では何度か食糧難になりました。レオンより東から始める人は、必ず食料確保の計画を立てながら進むようにして下さい。
また、スペインのスーパーは日曜休みや中休み(14時~17時休み)がある事が多いので、そこも頭の片隅に入れておきましょう。また、12月25日と1月1日は都市部でもほとんどのスーパーは休みになります。
歩ける時間が短い事を考慮して予定を組むべし
12月だと、朝は8時過ぎてうっすら夜が明け始めるくらい、夕方は17時半くらいから薄暗くなります。
明るい時間帯に歩くなら、8時半から17時と思って下さい。そう、8時間半しかないんです。無理な行程を組むとあっという間に真っ暗になります。
街灯の無い真っ暗な未舗装路も多いので、ヘタすると日が落ちると一歩も歩けない事態になりかねません。ヘッドランプなどが無い場合は必ず明るいうちに到着する行程を組みましょう。
天気を確認すべし
何度も言っていますが、冬のスペインは雨が降ります。ちょっと雨が降るくらいなら良いのですが、荒れた天候で高地を行くのは危険です。
この日記の日、ボクは強行しましたが、ぶっちゃけ台風の日に外に出てるようなもんで倒木や物が飛んでくるリスクがあって非常に危険だし、あの超強風は小柄な女性とかだと歩けすらしないと思います。
と言う事で、天気予報(特に風)はしっかり確認しましょう。悪天候で進めない日も考慮して、日程的にも余裕を持ってスケジュールを組んだ方が良いです。
到着したらまず洗濯してヒーターを確保!マジで乾かないぞ!
洗濯物は、夏はその辺に干しておくと一晩で乾くと聞いていたのですが、冬は全然乾きません。
気温が低い上に、冬の方が雨が多い(=湿度が高い)んだから当然っちゃ当然です。地域と室内の状況によっては一晩干しても速乾性のタオルすら乾きません。
主に乾かす場所はヒーターの上や近く。白い金属の蒸気ヒーターの上や、薪ストーブなどの近くに置かないと絶対乾きません。
巡礼者が少ないとは言え、みんなが洗濯物干せるほどヒーターは多くありません。アルベルゲに着いて、洗濯物を干せそうな場所が空いていたら、真っ先に干しましょう。
そして干し場所確保と同じくらい大事なのが、乾いたら速やかに回収する事。洗濯物を干したいのは誰だって一緒です。乾いたらすぐ他の巡礼者に譲りましょう。
※洗濯物や乾燥機の写真が無かったので、ネコの写真で許して下さい。
たまに乾燥機があるアルベルゲもありますが、3~3.5ユーロもしますので、そうしょっちゅう使えません。ガリシア州の州立アルベルゲ(Xunta)には1回1.5ユーロの乾燥機が置いてある(たまに置いてない所もある)ので、ボクは終盤よく利用していました。ただお釣りが出ない仕様なので注意して下さい。2ユーロ入れたら2ユーロ飲み込まれてしまいます。
なお、汗は夏程かかないはずなので、毎日全部洗う必要性は感じませんでした。ボクは、下着と長袖シャツ⇒毎日洗濯、上着とズボンと靴下⇒2,3日おきに洗濯、と言う感じでした。
もし冬のカミーノをするならクリスマス到着を狙え!
これだけ言って冬のカミーノをしたい人は相当な決意と意思を持ってるんだなと思います。ボクは冬カミーノを全くオススメしませんが、もしもやるなら、クリスマス到着がオススメです。
以下、クリスマス到着予定で”フランス人の道”を歩くと仮定して理由を述べます。
アルベルゲや食料に困窮する前半を11月~12月上旬に通り過ぎる
多くのアルベルゲは11月から閉まってしまいますが、冬が深まるにつれて閉まる率は更に高くなっていきます。
が、そこまで極端にアルベルゲや飲食店に困るのはレオンより東(中盤)までの話。レオン以降は巡礼者の数も増え、特にガリシア州に入ってからは州立(Xunta)の年中無休のアルベルゲが有るので、かなり楽になります。サリア(サンティアゴまで114km地点)以降は宿や食事に困る事はほとんどありません。
よって、レオンまでを11月から12月上旬までに通り過ぎてしまえば、面倒な事はかなり減るでしょう。
天候がまだ安定している
カミーノは12月以降、天候が荒れる事が多いです。11月~12月前半はそこまで荒れる事は少ないので、気候で苦労する可能性も低くなります。
クリスマスと年末年始を中途半端な場所で過ごさない
やはりアルベルゲと食事に一番困るのがクリスマスと年末年始。中途半端な田舎に滞在してしまうと進退窮まったり、食料不足になりかねません。
クリスマスを聖地サンティアゴで!
せっかくのスペインのクリスマスをのんびり過ごすのも良いもの。イブはミサに出たり、クリスマスディナーを楽しんだり、大きな町はいつもと違った雰囲気に包まれます。
特に聖地サンティアゴでクリスマスを過ごすと言うのはかなりロマンティックではないでしょうか!
それでも冬カミーノに行きますか?
冒頭で述べた事は変わりません。楽しくカミーノを歩きたいなら冬はやめた方が良い。
重い荷物で、動きにくい服装で、雨風雪の中、山に登っても良い景色なんて全く見られず、泊る場所や食べ物にすら苦労する冬カミーノ。
それでご利益3倍くらいになるならともかく、「冬のカミーノ歩いたよ!」なんて言っても、他人からしたら「で?」って感じですからね!ほんと何も良い事ありません。
と言う事で冬のカミーノはマジでオススメしません。でも一匹オオカミ肌の猛者か、過酷大好きのヘンタイならとっても楽しめる事でしょう!
と言う事で猛者とヘンタイさんはがんばって下さい。ボクは冬のカミーノは二度としません。ではではブーエン・カミーノ!(=’ω’)ノ
カミーノの日記を読みたい方はこちらのタグページからどうぞ。[リンク]カミーノ日記一覧
[追記]カミーノの統計情報について
日本カミーノ・デ・サンティアゴ友の会のサイトに、過去数年の巡礼者の統計データがありました。
2004年から2016年の月別データを見ると、ボクの1月到着は年間で最も巡礼者が少ない月で、全体の0.4%しかいません。1月は年末年始休暇でサリアから歩く短期巡礼者が多いはずなのに、2月到着の方がまだ多いのは、おそらく長期巡礼者はクリスマスや年末を避けて1月に出発するからでしょう。
ちなみに一番多い月は8月で全体の22.4%が集中しています。1月の約56倍ですね。アルベルゲも店も減って当然です。
そんなわけで、最もニッチな時期にカミーノを歩いたボクでした(ノω`)シクシク
つーか誰の役に立つんやこのニッチな記事・・・。
コメント
日本人で冬のカミーノを歩く方は少なく、大変参考になりました。ありがとうございます。この記事をシェアさせていただきます。
>>Hideto Hosokawaさん
早速読んで下さりありがとうございます!
冬カミーノをやる日本人の参考になれば嬉しいです。
カミーノひとり反省会読ませて頂きました。
色々とあったんですね〜。私は行くこともありませんが、お陰でバーチャルカミーノ出来ましたo(^_^)o
>>baumさん
反省会…のつもりで書いたんではないですが、確かにw
バーチャルカミーノしてないでリアルカミーノすればいいのに٩( ‘ω’ )و
出張レポート作成お疲れ様です。相変わらずマメですね。仕事じゃないのにレポート書けるってソンケイします!
>>Tomさん
いっそ出張報告ってタイトルにしましょうか・・・w
ネタが溜まっていくと、”朝出すべきモノを出してない1日”みたいなキモチ悪さがあるんで、どこかで出しきらずにはいられないのです^^;
初めまして。記事楽しく拝読しました。
ちょうど今冬に、普通に歩く気でいました…汗
とっても参考になりました!
>>Numaさん
読んでくださりありがとうございます!
次の冬ですか・・・!
防寒着をしっかり持って、心の準備が出来ていれば、後は天候次第だと思います。ボクの時は特にスペイン全土で天候が荒れた時期だったらしいです・・・(マドリッドに住む友人談)
天候に恵まれる事を祈っております(;>人<)