海外旅行で最もよく聞く犯罪:クレジットカード類のスキミング
よく「海外ではスキミング被害に気を付けて!」と言う注意喚起を見かけますが、具体的にどう気を付けるかイメージが付かない人もいるのではないでしょうか。と言う事で、今回は「スキミングって何?」から「具体的な対策」を、できるだけ簡単にまとめました。
※今回話題にしている「クレジットカード類」とは、「クレジットカード」「国際キャッシュカード」「デビットカード」の事ですので、この記事では「クレジットカード類」「クレカ類」と出て来たら、そのように読み替えて下さい。
スキミングってなんだっけ?
スキミングとは、広義では「カード内の情報が盗まれる事」を言います。「カード内」と言うのがポイントです。
接触型と非接触型の違いを知ろう
たまに、電子マネーカードのスキミングと混同して、クレジットカード類とスキミング防止カードを一緒に保管している人がいますが、自分のクレジットカードが非接触式かどうかを知らなければ全然まったく意味がありません。
スキミング防止カードと言うのは、非接触式のスキミングを防止する為のカードですが、非接触式のスキミングが可能なのは、普段の利用も非接触で使うタイプのカードだけです。
電子マネーはピッとタッチして使う『非接触式カード』ですが、クレジットカード類はレストランでも銀行でも、読み取り機に差込んで使いますよね。クレジットカードの多くは『接触式カード』なのです。
が、最近は日本でも『非接触式』のクレジットカードが増えつつあります。自分のクレジットカードが接触式か非接触式かは、カードに非接触式マークが表示されているかどうかで見分けられます。VISAカードの例⇒[外部サイト]Visaカードのタッチ決済
接触式のクレジットカード類は非接触スキミングは不可能
よって、非接触で利用できないクレカ類は、構造的に非接触ではスキミングできないのです。その為、スキミング防止カードがあっても無くても、接触式クレカ類が非接触スキミングされるおそれは無いのです。
接触式クレカ類がスキミングされるのは、差込める構造の接触式スキミング機器に通した時だけです。以下で言う「スキミング機器」は全て接触式のスキミング機器の事だと思って下さい。
スキミングはこうして不正利用につながる
クレジットカード類の不正利用には2つの情報が必要
実は、クレカ類はスキミングされても即・不正利用にはつながりません。次の2つの情報をどちらも盗まれた場合のみ、不正利用につながります。
- カード番号を盗まれる(スキミングで盗まれるのがこれ)
- 暗証番号もしくはセキュアコードを盗まれる(スキミングでは盗めない)
この2つが揃って初めて、クレカ類が不正利用される状態になります。
スキミングされても暗証番号・セキュアコードは盗まれない
スキミングは「カード内の情報を盗まれる」事と言いました。なので、カード内に情報として入っているカード番号はスキミングで盗まれてしまいます。
一方、暗証番号とセキュアコードは、カード内に情報として入っていません。暗証番号もセキュアコードもスキミングでは盗めないのです。よって、スキミング機器にカードを通してしまってカード番号が盗まれた時点では、まだ不正利用はできないのです。
日本の事例では、ゴルフ場のロッカーでクレカ類が大量にスキミングされる被害が知られています、あれもスキミングされた全員が不正利用被害に遭っているのではなく、暗証番号がロッカーの番号と一緒だったり、誕生日などの推測しやすい数字だった人だけが、実際の不正利用被害に遭っています。
まとめると、スキミングされただけではまだ大丈夫、不正利用につながりません。
なので、スキミング被害の防止は2段構えで考えましょう。
スキミング機器に気を付けよう
まず注意すべきは「そもそもスキミング機器に通さない事」。前述の通り、クレカ類は非接触スキミングは不可能なので、クレカ類が直接犯罪者の手に渡るケースを除き、利用者が自らの手でスキミング機器に通してしまうケースがほとんどです。
最も危ないのはATM
先進国・後進国を問わず、最もスキミングされる場所はATMと言われています。
正規のATMのカード挿入口に、自然にかぶさるようになっているスキミング機器が、世界的に広く販売されており、利用者がこれに気付かずにATMを利用する事でスキミングされてしまいます。
スキミング機器を通過してカードはちゃんとATMに入るので、利用者はまったく気付かずにATMを利用して出て行ってしまうわけです。
対策①ATMを選ぼう
犯罪者は絶対、スキミング機器を取付けに足を運ぶ必要があるので、狙われやすいATMと言うのは自ずと絞られて来ます。だから、狙われにくいATMを利用するようにすれば、スキミング機器に遭遇する確率がぐっと減るわけです。
以下のようなATMは狙われにくいと言われています
- 銀行の建物内にあるATM
- 警備員がいるATM
- 利用者が多いATM
- 周囲に通行者が多いATM
銀行内や警備員のいるATMを常に利用するのが理想ですが、国や町よってはなかなか無い事もあります。
そういう時は利用者が多いor人通りが多い場所にあるATMを使いましょう。
犯罪者はスキミング機器を仕掛けて、最後は回収しに来ないといけないので、作業できないほど利用者が多いATMや、人目につくATMは選ばないと言われています。
対策②軽く引っ張ってみよう
ATM利用時は、読み取り部が出っ張っていたら、軽く引っ張ったり横に揺すったりします。実際にこれでスキミング機器を見つけた事は無いので効果があるかはわかりませんが、人目を盗んで取付け可能な機器なら、そうガッチリ固定されていないはずです。
あんまり強くやって怒られないように気を付けて下さい。
対策③よく観察しよう
ATM前面パネルのほぼ半分を覆うほどの大掛かりなカモフラージュになっているスキミング機器もあるので、ATM前面パネルが不自然でないかどうかもよく観察します。
例えば全体的に古そうなATMなら、カード挿入口周りに貼られているシール(カード会社や注意書き)が色褪せていたり、剥がれていたりすると安全そうだなと判断します。逆に、ATM全体が古そうなのに前面パネルだけがキレイだったりすると、怪しんで良いと思います。ボクは利用しません。
対策④レストランでも注意
ATMの話ばかりしましたが、もちろんクレジットカード利用時などにスキミングされるケースもあります。
実際の例でいうと、レストランの従業員がスキミング機器を隠し持っていて、見えない所で正規のリーダーとスキミング機器の両方にカードを通していたケースなんかもありますし、正規のリーダーに取付けるタイプのスキミング機器もあるようです。
ちゃんと自分が見ている目の前で通してもらって、挙動や機器に不自然な所が無いかよく観察しましょう。
最後の砦:暗証番号を死守せよ!
さて、スキミング機器に通してしまわないようあれこれ対策を講じてはみても、ネットで最新スキミング機器を見ているとキリが無く、「これは引っかかる以外にないやろ!」と思ってしまうスキミング機器がけっこうあります。どれだけ気を付けていてもスキミングはされる可能性があるのです。
そこで死守しないといけないのが暗証番号。(セキュアコードはカード本体が犯罪者の手にわたらない限り盗まれないので除外)
暗証番号はどうやって盗まれる?
実はカード番号を盗むスキミング機器は比較的カンタンに購入できるものの、犯罪者側が意外と苦労するのがこの暗証番号の方らしいです。
暗証番号を盗む主な手段は意外と古典的。最も主流と言われているのは「小型カメラ」。ATM内のどこかに小型カメラを取付けておいて、利用者が暗証番号を入力する手元を撮影すると言う方法です。
更に古典的な「直接のぞき見する」と言う方法が取られる事もあるようです。
スキミング機器とは対照的に暗証番号の盗み方は未だに古典的な事が多いのです。
対策⑤古典的な手段には古典的な対策を
盗む手段が古典的なら、防ぐ側も古典的な対策をすればいいのです。一番簡単で有効なのが暗証番号を入力する手元を、もう一方の手で覆う事と言われています。
どんなに小型なカメラでも、取付けられる場所は限られています。多いらしいのが、暗所番号入力キーの周りに設置されているフード。のぞき見防止の目的で取付けられているフードですが、同時に小型カメラを取付ける絶好の場所でもあります。
よって、フードよりも低い場所で、自分の手で覆ってしまえば、暗証番号が盗まれる可能性はぐっと減ります。
実際、スキミング機器にはそれほど注意を払わなくても、この暗証番号死守だけで不正利用のほとんどは防止できると言われています。ちょっとした習慣なので、普段日本でATMを利用する時も意識すると良いと思います。
あ、もちろんゴルフ場の事例みたいに暗証番号が推測されやすい数字だったら隠したって意味無いです。心当たりのある人はすぐに変えて下さい。
念には念を!不正利用に遭っても被害を最小限に
結局、気を付けたって盗まれる
それでも、最先端の犯罪者は常に、最先端の防犯より上手です。
前項では「暗証番号は古典的な方法で盗まれる」なんて書いたばかりですが、欧米ではATMの入力キーに被せ、入力したキーを記憶する精巧な機器も発見されています。どれだけ気を付けていても、運悪く最先端の機器を使う犯罪者に遭ってしまうと、被害は避けられないのです。
そこで、「カードが不正利用されても被害を最小限に抑える対策」として、旅行者がよくやっている対策を2つ挙げます。
対策⑥引出し口座を分ける
長期旅行者でやっている人が多いのが、「引出し用口座」と「本口座」を分けてカードを作ると言う対策。
まず「本口座」の方にお金を全て入れておき、直近で利用する金額だけをネットバンキングで「引出し用口座」へ送金。実際にATMからの引出しやレストランなどでのクレジットカード利用では「引出し用口座」のカードしか利用しないと言う方法です。
全財産が入った「本口座」のカードをそもそも街中で利用しなければ、スキミングも暗証番号も盗難されないし、もし「引出し用口座」のカードが不正利用の被害に遭っても入ってる金額は最小限と言う対策です。
かなり有効な対策だとは思うんですが、ボクはやってないのが現状です・・・。
途上国や田舎では、ただでさえATMからお金を引き出す機会が少ないのに、更に事前にネットバンキングで送金しておくと言う、いわば二度手間をする自信が無いからです。
一応、カードは2枚持っていて「普段使い」と「非常用」に分けているので、普段使いのカードが不正利用されても一気に全財産が無くなる事は無いようにはしています。
対策⑥上限額を厳しく
そんなズボラなボクがやっている対策は、「引出し上限額を厳しく」する事。ボクのデビットカードは1日で10万円まで、1ヶ月で30万円までしか引き出せないようになっています。
銀行にもよると思いますが、「国内/海外」「ATM/クレジット」等、利用状況によって上限額は細かく設定できるようになっています。ネットバンキングの利用登録をしておくと、いつでも上限金額を変える事もできます。
上限額については個人の旅行スタイルにもよるのでなんとも言えませんが、ボクは今のところ、これで不便した事はありません。それぞれ自分に合った額で設定しておくと良いと思います。
そう言えば追記
最近聞いた、旅行者(大学生)がクレカ被害に遭った話。
ある旅行者のクレジットカードが盗まれて、ATMから不正引出しが行われたそうなんですが、なんとその旅行者、その辺で声をかけて来た現地の人と雑談しながら一緒にATMに行って目の前でお金をおろしたそうです。
・・・・・
・・・・・バk(ピーーーーー)※自主規制
そうやって暗証番号を盗み見された後、別の人からカード本体を盗まれたんだってさ。なお、クレカは親からの借り物で、不正利用に気付いたのも日本にいる親だったらしい。
あまりにもしょうも無さ過ぎて、本文の流れにちょっと組込めませんでした。
対策⑦カード本体を素性の知れない人に渡さない・利用する姿は見せない
カード番号はカード表面に印字されているし、裏面にはセキュアコードが書かれているので、当然ですね。他人の目の前でATMを利用するのももってのほかです。
クレカとして利用する際は仕方ないですが、その場合も暗証番号は絶対に見られないようにしましょう。
こんなの当たり前すぎて文章書いていてちょっと虚しいんですが、実際それをやっちゃったバk(ピーーーーー)がいたらしいので、ちゃんと書いておきました。
クレカをお子さんに貸す親御さんは、使い方をよくよく言い聞かせましょう。なんならボクのこの記事を紹介してあげて下さい(宣伝)。
クレジットカード類の防犯まとめ
短くまとめるつもりだったのに、ちょっと長い記事になってしまいました。
クレカ類の犯罪は、海外に限らず日本でもよく起こっています。クレカ類の犯罪は多発していますが、その大半はちょっとした習慣で防止する事ができます。ぜひ旅行にも日常生活にも役に立てて下さい。
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