パミール高原5日目!パミールを脱出するのだ(2017年10月1日~2日)

さろーむ!

今日はこれ以上のパミール滞在をあきらめてホーログへ移動しました!

 

パミール4晩目はもっと最悪でした。頭痛が悪化して寝ようにも寝られず、布団の中で何時間も七転八倒。夜中にようやく「バンコクで親知らずを抜歯した時に処方された鎮痛剤があった」と言う事を思い出し、真っ暗で寒い中(この宿は夜19時から22時までしか通電しないと言うクソ^q^)、鎮痛剤を探して飲むとすぐに楽になり、なんとか寝入る事ができました。

鎮痛剤はどうも2時間ちょっとくらいしか効果がないようで、切れる度に目が覚めて、朝までに合計3錠飲んでいました。一晩でそんなに飲んで良いかどうかはよくわかりませんが、おかげで寝る事ができました。

それでも朝7時半時点で、状況は昨日より悪化。熱は下がってない、食欲は戻ってない、頭痛は昨日よりひどい、昨日ほとんど食べてないのでさっぱり力が入らない。

 

ボクは風邪引いてもあまり病院には行かず、たいてい夜寝て、昼寝ると、その日の夕方にはほぼ元気になるタイプです。夜寝て、昼寝て、夜寝ても一向に回復しないってなんやねん。風邪じゃない病気かとも思って少し怖くなり始めました。

ただ、よくよく考えるとこの宿は病人が滞在する環境としては最悪で、小高い場所にあるから1日中吹きっさらし、トイレに行く度に寒風の中を通らないといけません。部屋の中も夜は5℃前後まで下がります。汗かいてトイレに行っては小一時間体温が戻らなくて寝られず、水を飲もうと半身起こしては背筋が寒くなってびっくりする状況では、治る物も治らんです。標高3,900mってのも体に負担そうな気がします。

 

と言うような事を、また昨日と同じ焼き卵とハチミツミルク茶の朝食をとりながら考えていました。今日もハチミツミルク茶うめぇ。

ここでボクが出した結論はこれ以上のパミール滞在をあきらめる。パミールの後も、タジキスタン→ウズベキスタン→カザフスタンと長距離移動や夜行移動が続くので、とにかくこの風邪を治してしまわないといかんです。それにはこの風邪が治りそうもない寒いパミールを無理してでも出て、一気に標高が下がるホーログまで行ってしまうのが一番です。

自転車夫婦はムルガブの100kmくらい西にあるアリーチャって小さい街が、暖房設備のある良い宿があってオススメと言うてましたが、ボクはもうパミールでの途中下車がいかに時間と労力がかかるかを痛いほどよく知っているので、やっぱり一気にホーログまで行く事にしました。今のボクにも明日のボクにも、アリーチャなんぞでヒッチハイクし直す体力は無さそうです。

と言う事で、朝飯を食べた後は大至急荷造りをし(途中何回も休むので1時間半くらいかかったけど)、宿を出る事にしました。宿の旦那さんに「ホーログ行きのシェアタクシー乗りたい」と言うと、「バザール、ジープ、『ホーログ!ホーログ!』」と答えてくれました。英語が一切しゃべれない人なのです。

でもたった3つの固有名詞で「バザールに行ってジープを探して、『ホーログ!ホーログ!』と連呼して探しなさい」と言ってるのがわかるので、コミュニケーションの可能性って無限大だなと思いました。

宿からバザールまでは僅か300mほどだったのですが、この時のボクには果てしなく遠かったです。でもなんとかバザール到着。

バザールと言うのは、コンテナが並んだ場所でした。外からは何の店かさっぱりわかりませんが、中を覗くと肉屋だったり八百屋だったりしました。でもそんなあちこち覗く体力は無いので、車が集まっている広場に直行。

もこもこに着ぶくれした日本人が、熱による涙目で「ホーログ!ホーログ!」連呼しているのはさぞかし怪しかったと思いますが、親切なおっちゃん(英語は通じない)が「ホーログ行きはまだ車が来てないからここで待ちなさい」とジェスチャーとタジク語で教えてくれました。

待ってる間にこのおっちゃん、「カザフスタン?ベトナム?ジャバニーズ?」と訊いてきました。どう考えても変な三点賭けですが、一応当たっているのがすごいです。カザフ人とベトナム人ってそんなに似ていたっけか

このバザールでしゃがみ込んでいる時が、体調的にこの前後数日で最悪でした。

幸い、10分ほどでジープが1台やってきました。先程の三点賭けおやじがドライバーに行き先を確認してくれ、「ホーログ!」と言って乗るように促されました。

シェアタクシー乗り場にたいていいる、こう言う親切なおじさんは一体何なんだろう。こうやって客を案内して、どこかからお金をもらってるんだろうか。それともただの親切なヒマ人なんだろうか。

 

空席が2つあったので乗り込むと、座るか座らないかの内に隣の女性が「こんにちは、日本人ですか?」と声をかけてきました。オシュからのタクシーも隣が日本人でしたが、なんとまた隣が日本人でした。

この女性はカナさんと言って岐阜の方でした。ボクは8年弱愛知に勤めていたので、ローカルな話題も通じました。旅慣れてる雰囲気だなーと思っていたら、トータル1年の世界旅行を半年ずつ2回に分けてやってる方でした。前半は中南米~ヨーロッパを回ったらしく、後半戦を中央アジアから始めた所らしいです。

ムルガブからホーログへのシェアタクシーは150ソモニ(≒1,920円)でした。カナさんによるとネットの情報だともっと安くなったかもと言う事だったんですが、最悪のコンディションでバザールに座り込んでいたボクは、もういくらでも払うからホーログに連れてってくれと言う心境だったので、交渉もなんもしてません。

 

その後は割ともう見飽きた絶景を見つつ、ひたすら移動。

お昼に食堂で飯。シュルボ。15ソモニ(≒円)

シュルボ

ぶつ切りのニンジンやジャガイモ、タマネギ、マトンがごろっと入った、塩気強めのシンプルなスープでした。スープがマトンマトンしていてすごいです。マトンマトン。

シュルボ

キルギス以来の肉を食べてかなり生き返りました。

この辺で飼われている犬は、牧羊犬なのかみんな大きくて賢そうです。

知らない人を見てとりあえず吠えまくるインドのバカ犬と違って、おとなしくてかわいいです。

 

朝10時頃にムルガブを出たジープは、夕方18時過ぎにホーログへ到着しました。

宿はカナさんが調べていた(と言うか日本人がよく利用してるっぽい)パミールロッジへ。普段のボクなら日本人多そう過ぎて避ける系の宿ですが、自力で宿探しする元気もないし、何よりWi-Fiがあるって話だったので、喜んでご一緒しました。ボクだけだとまた宿探しからしないといけなかったので、カナさんが同乗してくれていて本当に助かりました。

宿の前は学校。

日記書こうとしてびっくりしましたが、余裕が無さ過ぎて写真がまったくありません。この日はそのくらいしんどかったです。

車から降りて、ホーログはかなり暖かい事に気付きました。部屋に暖房設備はありませんが全然問題無いくらいの気温です。

ホーログの標高は約2,300m。標高が下がったからか、お昼それなりに食べたからか、車の中が暑くて汗かきっぱなしだったからか、体調はかなり回復していました。頭痛は気にならないくらい軽くなり、熱はもうほとんど無さそうです。ただ胃腸はまだ仕事する気がないようで、昼間食べた羊さんがしきりに胃からコンニチハしようとしてました。

 

期待していたWi-Fiは、カナさんがすぐに宿の人に訊いたんですが、「Wi-Fiは動いてない。日曜だから・・・」と言う返事。

日曜お休みのWi-Fiって、なんだよその人間味あふれるWi-FiΣ(゜゜)

壊れてるって言われたらちょっとイラッとするところでしたが、理由がおもしろかったのでなんとなくOKです。

 

夜はもう20時には寝てしまいました。暑かったりして結局移動中は寝られなかったので、普通に寝られました。ていうか普通にズボン1枚、Tシャツ1枚で寝られて感動しました。ここ4晩、身体曲げるのも困難なくらいのモコモコ厚着でしか寝られなかったので、それだけで息苦しかったです。

睡眠も久しぶりに快眠!汗びっしょりかいて起きる事もなく、逆に汗が冷えて寒くなる事も無く、とても快適でした。

 

翌朝、カナさんは同じ宿に泊まっていた日本人や韓国人とともに、ホーログ側からワハーンに向かって発って行きました。

ホーログの方が高度的に安心だし、乗り合いタクシーなどの交通手段が充実しており、また乗り合い仲間の旅行者も探しやすいです。キルギス側から入っても、一気にホーログまでやって来てワハーン入りの方が、距離的には長くなりますがトータル効率が良いようです。完全に作戦負けなボク^q^

そんなわけで、ボクはカナさんを見送った後は宿でキャンプの後片付け。テントなんかシャリシャリに凍ったまま畳んでいたので、さっさと干さないとカビてしまいます。溜まっていた服も洗濯。

パミールを自転車で横断して来た人たちの洗濯物も合わさって、宿の中庭がお洗濯祭りになりました。

ホーログは朝晩は冷えますが、日中の日向は半袖半ズボンでも活動できるほど。とてもうららか。幸せ。トイレに行くだけで強風に負けそうになるムルガブから来ると、まるで天国です。

でもあんな厳しい土地でも学校があって、子供も老人も暮らしてたんですよねー。彼らだって風邪ひく事もあるだろうに・・・。今のボクから見ると彼らはほぼサイヤ人クラスです。

午前中調子に乗って洗濯したり干したり活動していると、軽い頭痛がぶり返してきたので、昼は無理せずのんびり。

宿の周りはネコが多かったです。

子ネコが3匹いたのですが、親?が子ネコから逃げ回るので、子ネコが四六時中親ネコを探し回って切なげに鳴いていました。

動き回るので撮るの難しい・・・

と思ってたらネコを持って歩き回る子供

 

「リンゴジャム作るんだよ」と日向で大量のリンゴをむくおばあさん。

ジャムにしたら多少嵩が減るとは言え、タライいっぱいのリンゴ・・・。一冬越せる量を一度に作るのかな。「食べなさい食べなさい」と勧められて、リンゴ頂きながらしばし会話しました。

15時頃に、宿から少し外出して買出し。と言うか昼飯食べに出たんですが、近くに飲食店が見当たらなかったので食材を買って宿で作る方向に切替えました。

キッチンで調理。中学校の理科室にありそうな電熱線のコンロでした。

やっぱり袋ラーメン+タマネギ+卵の組合せ。

パスタなんかも売ってあったんですが、調味料も買わないといけない事を考えると、やっぱりこう言う選択になってしまいます。ちなみに卵は贅沢に3つも入っています。

子ネコが親を探してキッチンに入って来ました。

あとは飲むヨーグルトみたいな物。

その辺で詰めました!みたいな容器に入ってると思ったら、開けたらいきなり糸くずが混入していましたw

でも新鮮でドロッと濃く、砂糖なんかが一切入ってなくてもゴクゴク飲めるおいしさ。

とても平和な一日を過ごしました。

 

と言う事で、ボクのパミール編は、カラクール湖で途中下車と言う痛恨の選択ミスと風邪により、ものすごく地味に終わりました。一番のイベントがおもしろいフランス人に会えた事かなw

まぁパミールとは今回ご縁が無かったっつー事で、しかたないです。景色はたしかに良かったのと、まぁ多分次からの高地滞在が若干楽になる下地ができたんじゃないかなーとプラスに受け止める事にします。また元に戻らんように、定期的に高地滞在しないと。

ではパミール編はこれにて(=’ω’)ノ

コメント

  1. ログボ より:

    ttps://wikitravel.org/ja/ホーローグ?title=ホーローグ

    「パミール高原東部へ向かう場合、標高2000mのホーローグで3~5日滞在して高地順応しておくと、高山病の症状を抑えられる」って書いてあるけど、
    ある程度の経験者でもなかなか大変なのね(´・ω・`)

    ttp://blog.livedoor.jp/takemutravel/archives/33194810.html
    すぐお隣が最も危険な国ですが比較的平和そうで良かったですね。

  2. baum より:

    よくぞご無事で❗️充電5%から良く復活しましたねo(^_^)oカナさんは命の恩人ですな^ ^まだ強運持ってますね。しっかりと充電してまた旅を楽しんで下さい。

  3. wolt より:

    >>ログボさん
    一度高地順応していても、長くて3ヶ月程度しかもたないと言われてますからねぇ。
    もう1年くらい山に登ってなかったのでほぼ耐性ゼロだったと思います^^;

    パミールでは毎週土曜日だけ、アフガニスタンとの国境が開き、アフガンバザールと言うのが開催されています。実はパミールでの一番の目的がアフガンバザールだったんですが、フランス人との宿泊を決めた時点で、日程的に絶対間に合わなくなったので、あきらめました^^;

    パミールとアフガンの情勢はだいたい安定しているようですよ。実はタジキスタンビザとパミールの入域許可証は別物なんですが、パミールの入域許可証が発行されている限りは情勢的に問題ないと言われています。そのブログみたいな行きずりの人が「平和っぽく見えるけど危険が潜んでる」的な発言してるブログは何がしたいんだろうなと思ってしまいますが・・・

    >>baumさん
    昨日も今日も充電中です!
    やっぱり体調悪い時は日本人が近くにいてくれるとありがたいです(;^人^)

  4. ログボ より:

    母親が若い時3000m級の山に登った経験があって高山病について聞いてみたら、
    1ヶ月前からもう少し小さい山で訓練しないと危険だ、って言ってた(´・ω・`)

    準備不足で富士山の山頂とか泊まろうとしたらwolt氏みたいになっちゃうんですね。

  5. wolt より:

    >>ログボさん
    個人差があまりにも大きいので一概には言えないんですけど、そうですねぇ。一カ月前から準備したら、多くの人は安心かと思います。

    本当に生まれ持っての体質の影響が大きくて、富士山レベルなら突然宿泊しても大丈夫な人もいますし、またどれだけ訓練しても高地に適応不可能な人もいます。(仲間内にいた)

    あとボクのが高山病かどうかと言うとかなり怪しいです^^;
    高山病は普通、高地到着後数時間~1日以内に発症するんですが、ボクは3日目までは起き抜けの軽い頭痛程度しか感じず、ひどい頭痛になったのは体調を崩した4日目からだったので、標高が高い事で風邪の一部が悪化したのか、体調崩したことによって遅れて高山病になったのか、自分でもよくわかりません。

  6. 匿名 より:

    頭痛、めまい(ふらつき)、吐き気・嘔吐、食欲不振、不眠、時に下痢、発熱

    ↑症状ってこれ?
    https://medical.yahoo.co.jp/katei/311355000/?disid=311355000

  7. y.kujime より:

    平地に住むのは有り難いことなんだね。体調悪いなか写真撮る根性頭下がる。ネコで癒されるね。

  8. wolt より:

    >>匿名さん
    症状はそれ!
    ただタイミングが全然ズレてる(「通常、急性高山病は、高所に到着後6~12時間で発症し、2~3日でピークになり、4~5日後には消失します。」)ので、高所に適応しきる前に風邪をひいた事によって遅れて出て来た・・・のかなぁと思っていますが、風邪との境界がいまいちわかりません。

    >>y.kujimeさん
    平地って素晴らしいなぁとホーログ(でも2千m越えですけど)で実感いたしました・・・